消えたモナ・リザ
壁に残ったのは、四つの鉄の掛け具と、そこだけ色の違う四角い跡。人々は絵ではなく、その空白を見るために並んだ。
書き写しただけの番号
給油所の店員が、受け取った十ドル札の余白に車のナンバーを書いた。二年半前に始まった事件と、その走り書きは、まだ結びついていなかった。
DNAが無実を証明した日
五千人分の血液が集められた。その技術が最初に示したのは、犯人の名前ではなく、自白した男が犯人ではないという事実だった。
紙幣が動いた九日間
少年は一週間あまりで帰ってきた。残ったのは、番号を控えられた二十万ドルの札束と、それを使う者の行方だった。
17年目の文章
現場には指紋も繊維も残らなかった。フードとサングラスの似顔絵を一枚残して、犯人は十七年間、誰でもなかった。
最後の通信
三十年近く、沈黙していた。2004年、同じ署名の手紙が、また届き始めた。
四十年間、名前のない証拠
何度照合しても、名前は出てこなかった。保管庫の箱の中で、現場のDNAだけが四十年待っていた。
完全犯罪、あと五日
ハロウィンの仮面と、そろいの制帽。十数分で運び出された現金の行方がわかるまで、六年かかった。
本物でなければ、脅しは通らない
貨物室に爆弾がある、と電話は言った。乗客乗員128名を乗せた機は、燃料が尽きかけるまでシドニーの空を回り続けた。
見えなかった一色
専門家たちは、何度見ても本物だと言った。二十年近く、その絵を退けた者はほとんどいなかった。
破られなかった金庫室
扉に傷はなく、警報も鳴らなかった。開いた金庫室の中で、百を超える貸金庫だけが空になっていた。
二つの椅子に座った男
シンガポールの取引フロアに、誤差を入れておくための口座があった。番号は88888。二百三十三年続いた銀行が、そこから消えた。
警報は鳴っていた
壁に、円い穴が三つ重なって開いていた。警報は鳴っていた。誰も現場に来なかった。
本物の偽札
紙も、インクも、印刷所も、本物だった。それでも、その札は出回ってはいけない札だった。
動いたのは、紙だけだった
金庫に証券は無かった。銀行のあいだを回っていたのは、それがあると書かれた一枚の紙だけだった。